シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【ドラマ】アンナチュラル 〜様々なアンナチュラルに一石を投じる〜

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アンナチュラ

遅ればせながら、最終回鑑賞しました。
個人的には、今クール1のドラマでした。感無量。

まず1話完結型のドラマとしてもちろんとてもおもしろかったし、1話ごとに詰め込まれているテーマ性、社会問題のあれこれ、表の世界では決して見ることができない翻弄される裏の世界、でも本当に着目すべき世界をどんどん露わにしてくれる。

その全てを、三澄ミコト(石原さとみ)、中堂系(井浦新)、東海林夕子(市川実日子)、久部六郎(窪田正孝)神倉保夫(松重豊)、坂本誠(飯尾和樹)のUDIチームを中心にそれぞれのキャラ付け、背景などの設定を含めてのセリフ回しでシーンに対して深みがより出ているし、その人がその言葉を放つ意味と重さがズッシリと出てきている。

1話完結としてのみならず実は裏で点が線になっていて、しっかりとドラマとしてのストーリーも展開されていく内容が凄すぎた。濃密すぎる。
シリアスな内容にズッシリ重くストーリーが展開されると思いきや、チームの仲の良さを感じられたりそれぞれの掛け合いなどの日常生活が描かれていることで、コミカルな要素もあり、展開が重くなりすぎず、どんな人でも楽しめるような作品になっている。

力なき者は権力に負ける、真実が抹消される。
他人のことを思って他人の力を借りれない弱い者に救いの手を伸ばす、それが法医学でもある。
それでも法医学は事実を追求することしかできない。
死体を解剖しても、事実が明らかになったとしても、その人が戻ってくるわけではないが、少しでも救われる人が増えるように、同じことを起こさないように、小さいかもしれないけどそれが法医学の意味でもっと広がって欲しい。
そんなメッセージ性を感じた。

法医学を通して事実が明らかになり、事実に人の心や想い、感情を明らかにすることで、それが真実に変わる。
事実と真実を明確にわけてわかりやすく表現するのもこの作品ならではだなと思いました。

その中でも特に心に残ったのは、第7話「殺人遊戯」
これはイジメを殺人遊戯とするその表現もすごいなと思ったが、上記に書いたようなミコト、中堂自身が放つからこその深さと重みが非常に出てくるセリフ回しがとても印象に残ってます。

下記が7話で思ったこと。
優しい人ほど得をしない生きづらい狭い世界。
そんな世界は間違っている。
なぜに組織はこうも最悪の結末を迎えるまで知らんぷりなのか。
学校の限界を見たような気がした。

「逃げる=死」であってはいけないというのは今やからわかることやけど、小学校〜高校においては、どうしても学校だけが自分の世界になりがちだから、「逃げる=死」に繋がりかねない。
だからできるだけ幼い頃から色んな世界を見せてあげて色んな逃げ道を作ってあげるのが大事だと思う。

逃げ道を作るというか、逃げる世界があるということ、逃げる選択肢があるということ、を知って欲しい。
アンナチュラルもそうやけど、これをより細かく訴えていたのが前クールドラマ「明日の約束」であった。
最近作品を通して、逃げることも正しいという傾向になってきたのはいいことだと個人的には思っています。

そして生活や仕事をしていく上で最低限学んでおきたいことは、実は学校以外でも学べる。
逆に学校で勉強したことのほとんどは生きていく上でプラスに働くことはあるが、絶対に必要なものではない。
学校から逃げることのハードルは高いかもしれないけど、逃げても人生は終わらないから、本当に辛いときは勇気を持って逃げて欲しい。

それ以外にも、冤罪問題、長時間労働問題(家族のために尽くし続けて働く人を搾取するかのような長時間労働を強いる経営者)など、色んな問題に切り込まれていた。

そして中堂の描かれ方。
彼女が殺されるという過去を持つ設定から、荒々しい性格ながらも、過去の反芻などから来る正義感が強い性格が露わになる。
だからこそ誤った形で、自分を制御できずに復讐を敢行しようとしてしまい、ラストで復讐の形を正したミコト。
「法医学者として闘う、不条理な事件に巻き込まれた人間が、自分の人生を手放して同じように不条理なことをしてしまったら負けなんじゃないんですか。」
このミコトの言葉に感動した。

本当に素晴らしいドラマすぎて、回を追うごとに見入っていて、メッセージ性も言葉の選び方もすごくよかった。
事実を明らかにすることで、隠されていた問題、裏側が明らかになり、真実が明らかになる。
その一端を担っている法医学は、様々な境遇の人の未来を作る本当に意義があるものであると教えてくれた傑作ドラマでした。

P.S.
主題歌のLemonもシーンを助長させる素晴らしい曲で、今クール主題歌で個人的に一番よかったと思います。
切実に続編希望!!
野木亜紀子脚本恐るべし。

Their journy will continue.