【映画】夏の終り 〜ひたすらにセンセーショナルな愛〜
キャスト(満島ひかり、綾野剛)目当てで鑑賞。
瀬戸内寂聴原作。
瀬戸内寂聴、こんな煩悩を抱えていたからこそ出家したのか、出家したからこんな煩悩を抱えるようになったのか。
どちらにせよこの本に至るまでの瀬戸内寂聴の半生もすごく気になる。
すごく繊細に愛が描かれている映画。
それぞれの愛と昭和感漂う夏の風景がマッチしていて、この世界観が好きだった。
好き嫌いはわかれそう。
3人の愛の物語。
みんな自由奔放で、それぞれがそれぞれの本能のままに生きる。
かたやでは不倫、かたやでは不倫相手以外の人とのお付き合いがある。
普通にいくと昼顔みたいなドロドロ展開が待っていそうで、もやもやするかと思いきや、この映画はそこに照準を当てずに、それでも「愛する人を愛すること」、色んな人を愛してしまう人間が、上手に緻密に描かれているので、全然気が悪くならない。
むしろここまで人を愛せることに対して、どこか嫉妬してしまう。
そんな不思議な映画だった。
順風満帆にはいかず、ときに愛する人にとられる態度に悲しくなり、嫌いになってしまいそうなこともある。
でも、絶対に無関心にはならない。
ふとしたときに、その人に会いたいと思ってしまう。
こんな自分勝手な女性でも、そんなこと関係なく愛してしまうのが男であって、それが男ってバカよねと言われる所以でもあるのかもしれない。笑
そういう女性を演じていた満島ひかりの魅力が際立っていてもうさすがという感じ。
満島ひかりに魅力を感じられなかったらこの作品には絶対のめり込めなかったと思う。
愛しているからこそ生まれる悩み、葛藤、苛立ち、心変わり、態度の変化、嫉妬心、逆に嫉妬して欲しいという感情からの身勝手な行動・・・
人が人を好きになる、愛するということに照準を当てて、ここまで丁寧に描けるのは純粋にすごい。
また、男の優柔不断さと女々しさが何ともリアル。
そしてそんな姿を演じ切る役者たち。
満島ひかり、綾野剛は本当に裏切らない。
圧倒的な演技力に毎回驚かされる。
彼らは間違いなく演技をするために、生まれたんじゃなかろうか。
小林薫のいつもの役柄ではない女々しい男の演技もぜひ観て欲しい。