時代を超え、志は未来に生き続ける。天外者と呼ばれた五代友厚の生き様が、坂本龍馬や伊藤博文、岩崎弥太郎などの名だたる歴史上の人物やそれ以外の彼を取り巻く人たちとの関係性とともに描かれる。天外者とは、規格外に度量の大きい、凄まじい才能を意味す…
ふたりなら堕ちても超絶大傑作。2020年ベストってだけでなく、オールタイムベストにまでなりそう。とにかく凄すぎる。圧巻。濃すぎて、深すぎて、おもしろすぎた。好きか嫌いかとか信じるか疑うかとか、そういう二元論で語ることができない人間の奥底に眠る…
おもしろかった!もしも世界の中に妖精が住んでいたら…妖精とともに生きる共生することを目指す人間か妖精のために人間社会を破壊して妖精だけが生きられるようにすることを目指す妖精か。共生と支配という一筋縄ではいかない大きなテーマを、わかりやすくし…
仲野太賀さん主演に、吉岡里帆さんが出演ということで、心待ちにしていた作品。わかってはいるはずなのにそれに伴わない行動で、やらかして失っては、向き合いきれずに逃げて…そこでやっと気づく自らには何もないという空虚さ。自らを客観視…
ワタシの人生に、タイトルなんて必要なんでしょうか?嘘のない振り切った彼女たちの生き様に心揺さぶられる傑作。社会に掻き消されている切実な声なき声が次々に溢れ出てきて、ただ生きることそのものに一筋縄ではいかない難しさやきつさを内包し…
成長するだけじゃ、オトナになれない。青春ならではの何かに懸命になり、向き合っていき、変化を伴う成長を軸にした理性的な作品というよりは、人生の中にある衝動や気持ちの揺れ動きに着眼しているような感性に訴えてくる作品。ボーイミーツガール、ガール…
佐々木、青春に似た男。試写にて鑑賞させていただきました。青春の代名詞みたいな映画。あの頃に想いを馳せながら、今を生きる人たちの背中を押してくれる傑作。ちょうど世代的にもどストライクにハマった。佐々木という青春の表裏を体現しているような男。…
無様に輝け。映画でしか味わうことのできない最高のカタルシス。ここへ来てまた2020年ベストを揺るがすくらいの大傑作に出会えた。ここまでやってくれるからこそ自然と湧き上がってくる類い稀な思わず震えて奮い立つ感覚。映画全体の熱を底上げする2020年で…
狂気の果て。あれは、幻だったのだろうか。荒廃した都会の街、和ホラー的なオカルトテイスト、ミステリー要素、文学的描写、蔓延していく狂気からの人間の闇堕ちに加えて、いかにも往年の小説家っぽい雰囲気を纏う稲垣吾郎さんと まさに文学に出てくる…
第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection 2020」選出作品。河瀨直美監督の作風、綺麗な情景と自然に包み込まれるような演出が好きなので、新作をとても心待ちにしていた。作風や演出は、今までの自分の好みな自然や光が印象的に盛り込まれていて、『朝が…
物凄くよかった!やっぱり野木亜紀子さんの脚本が凄まじすぎる。ドラマだけじゃなく、映画でも遺憾なくその凄さが発揮されていた。描いていることの広さと深さがあるから、どうしても説明過多になり、特に序盤は登場人物をなぞっていくドラマっぽい側面を感…
最期の冬、母になりたいと思った。 凪沙と一果だったからこそ辿り着けた崇高で唯一無二な愛の境地。孤独であると感じていたからこそ愛に触れたとき、その人にしか見せない表情が生まれて、それらの積み重ねによって誰もが辿り着けない2人だけ…
壊れた家族は、つながれますか。虐待が横行していた父を殺した母に対しての三兄妹からのそれぞれの見方、および主観(よく知っている人たちの見方)と客観(全く知らない他人の見方)を程よいバランスで交えながら描いている。だからこそ一見非現実的な世界に現…
すごく 今でも ずっと身につまされる思い。少ない言葉数が本音を口に出せない彼らの世界をそのまま体現し、その理解するのが難しい心情がキャストの表情と演出でじりじりと伝わってきて、心がすり減りそうになる。「生きちゃった」という思いが、そのまま色…
閉鎖病棟 -それぞれの朝-その優しさを、あなたは咎めますか?重たくて苦しかった。何も悪いことをしてなくても、ただ健全に生きることができているだけで、後ろめたさや申し訳なさを感じてしまうほどにきつかった。何かしらの事情を抱えていない人が存在しな…
マチネの終わりに東京、パリ、ニューヨーク。世界のどこにいても、あなたを想う。それだけで、今日を生きられる。暑い日々が過ぎ去り、四季の中でも最も落ち着き、かつ地に足がついているような季節。ちょうどそんな秋にぴったりの作品。とても切なくて美し…
ブルーアワーにぶっ飛ばすさようなら、なりたかったもう一人の私。田舎が嫌で都会に出たけど、結局冴えない日々を送っていてもやもやしている人たちへの人間賛歌。例えるなら『ここは退屈迎えに来て』を、より家族との関係に焦点を当てて、主役がよい意味で…
真実(La Vérité / The Truth About Catherine)ママ、あなたの人生 嘘だらけねやっぱり是枝裕和監督の描く家族の形(あり方)は本当に好きだ。家族関係の中に優劣をつけずに、各々が思っていることを率直に伝え合う。でも気を遣う場面ではとことん気を遣う。…
ある船頭の話一艘の舟。すべてはそこから始まる。日本映画らしい奥ゆかしさととてつもない映像美に心奪われた。物凄く綺麗で繊細。ともすればこの映画の静けさと穏やかさから、上質な眠りに誘われそうな感じがするが、要所要所にしっかりと転換点を入れてき…
空の青さを知る人よ過去と現在をつなぐ、せつなくて不思議な"二度目の初恋"物語。試写会にて鑑賞。あいみょん主題歌と吉岡里帆の声優で楽しみにしてた作品。題材としては、アニメーションだからこそここまで入り込むように成り立たせることができる題材でよ…
蜜蜂と遠雷私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?物凄くよかった。若き4人のピアニストたちの邂逅により、それぞれの新たな境地に行き着いた音楽が創り出されていく。音楽(何か)を突き詰めた天才たち(あちら側の人たち)にしかわかり得ない関わり合い…
ジョーカー(Joker) 本当の悪は笑顔の中にある。 物凄いダークコメディ。 いやもはやコメディの枠には収まらないくらいに重たく骨太に、ピエロのアーサーがジョーカーになるに至るまでが描かれている。 笑顔がこんなにも怖く、笑顔がこんなにも多いのに全然…
楽園 ひとすじの光を君にみた。 Filmarks試写会にて鑑賞。 自分にとっての楽園とは、彼らにとっての楽園とは、そしてひとすじの光とは。 ストーリーテリングがとても上手で、徐々にタイトルとキャッチコピーの意味を明らかにしてくれる映画としてのおもしろ…
宮本から君へぶつかり合う愛と愛。観終えたむき出しの感情のまますぐに、ただひたすらに思い起こしたものを書き連ねました。超現実的な最低の魂のぶつかり合い。本当に『いなくなれ、群青』の後にこちらを観なくてよかったです。笑色々と感極まり過ぎて、き…
いなくなれ、群青約束しよう。私たちは必ず、また出会うんだよ。個人的な2019年ベスト映画が更新された。町田くんの世界orホットギミックかなと思ってたけど、ここへ来てとんでもない作品に出会えた。美しすぎる人と人の邂逅。これこそ人が生きる上での、極…
アイネクライネナハトムジークあの時、あの場所で出会ったのが君で本当に良かった。めっちゃよかった。何気ない日常なのに、だからこそわりと深く入ってきた作品で、途中くらいから泣いて止んでの繰り返し。 凪のお暇、横道世之介、舟を編む辺りが好きな方は…
愛を語れば変態ですかタイトルがキャッチーなのと72分でさらっと観ることができそうだったので、評価はなかなかによくなかったけど鑑賞。一見ごく平凡な夫婦あさこ(黒川芽以)とその夫(野間口徹)はカレー屋を営むことになっていて、オープンを翌日に控え…
判決、ふたつの希望(THE INSULT)ただ、謝罪だけが欲しかった ほんの些細な口論から始まった事件。人種の違うことで起こる様々な背景から、お互いが自分の信念を譲られないことで、話が大きくなっていき、メディアや国全体にまで浸透していくことになる。 …
凪待ち誰が殺したのか?なぜ殺したのか?まずキャッチコピーは明らかにミスリードなので、そこには引きずられずに鑑賞した方がよいです。 毎日をふらふらと過ごし、お酒とギャンブルに溺れている典型的なダメ男と言われざるを得ない郁男(香取慎吾)が、再起…
アンダー・ユア・ベッド覗いていたい。このままずっと。極限の孤独に蝕まれた男の愛は歪んでいて、狂気じみてはいるが、これは確かに一人の男の純愛の物語と捉えたい。もう一度名前を呼ばれたい。たったそれだけのために、覗き続けた先にあるものとは。幼き…