シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】ブルアワーにぶっ飛ばす 〜納得しない毎日を送る人たちへの人間賛歌〜

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ブルーアワーにぶっ飛ばす

さようなら、なりたかったもう一人の私。

田舎が嫌で都会に出たけど、結局冴えない日々を送っていてもやもやしている人たちへの人間賛歌。

例えるなら『ここは退屈迎えに来て』を、より家族との関係に焦点を当てて、主役がよい意味で変わって前進していく姿までもを描き、かなりエモくした感じ。

田舎のあらゆるものがダサく見えてしまうのは、自分のダサさを田舎に転化しているだけのこともある。
自分の現状を環境のせいにすることで、ダサい自分とは向き合わないようにする。
そこから理想像としてある都会に出て行ったらなりたかった自分になれると思って上京するが、現実はそう簡単なものでもない。

そこにはそこで待っている理想ではない現実があって、納得できないダサさを抱えながら日々を生きていかないといけないこともある。

理想が完璧な理想のまま進むことなんてほとんどはなくて、まあそれなりにやれてはいるけど、なんか物足りないんだよなーみたいなもやもやをどこか抱えながら生きている人が大半な気がする。

でも一旦そこは無視して何となくそれなりにやれてる自分を肯定するかのように違うものと比較しては、悩みつつもそれなりにいけてる生活に満足するようにして折り合いをつけながら生きていく。
でもなんか寂しくて喪失感に襲われる瞬間がある。

そんな主人公の砂田夕佳(夏帆)に物凄く共感、感情移入できる。
久しぶりに田舎にある実家に戻ったとき、家族とどう接していくかの正解がわからなくて当たり障りのないやり取りになっていく感じとか、悩んでいたとしてもその部分には蓋を閉めて本心を言わない感じとか、返答に困ってとりあえず合わせて気分を害さないように答えておく感じとか。
あらゆるシーンに自分を重ね合わせることができた。

そんな夕佳と対比するように自らのダサさを受け入れて、自分に正直に生きる清浦あさ美(シムウンギョン)が眩しく刺さってくる。
裏表が全くなくて、どこでも素の自分で好奇心旺盛で、生きているだけで全てが楽しそうな人っていますよね。
まさにそのまんまあさ美がそうだった。
こんな人と親友になれると人生って凄く楽しいんだろうなーと思う。

タイプが全然違う2人だけど、だからこそ補完し合えるものがあって、でも似ている部分もあって、絶妙なバランスで成り立ってるバディ的関係に惹かれていき、あのラストのエモエモな展開に導かれていく。
周りから見てダサくない自分であり続けることを意識していた夕佳が、天真爛漫でありのままの自分をさらけ出すあさ美に感化されていく。
しかもそれが夕佳が一番ダサいと思い嫌ってきた田舎と実家で起こる様々な事象に癒されながらも変わっていく感じがたまらなくよい。

田舎がどうとかというよりも子供のときに住んでいた場所にコンプレックスを持ちながらも、実際に年齢を重ねていくことでそこが愛おしくなる瞬間がある。
それがブルーアワーとして表現されている。

そして何もしなくても何者にもなれなくても前進しているように感じられなくても歳は重ねてしまう。
そこへの焦りや怖さも、様々な他者との関わりから考えさせられるシーンもあった。

ずっとそこにいたいわけではないけど、ふと帰りたくなる瞬間があって、帰ったら案の定多幸感に満ち溢れて、戻るときに変な虚無感に苛まれる。
で、たまに色んなことに気づかされる。
それがラストの夕佳のあの言葉にできるようでできないシーンで上手に表されていた。
たまに帰れて立ち返ることができる理想の場所としての田舎(生誕地)。わかりみが深い。

観ていたら観るのがどんどん恥ずかしくなってる自分がいて、直視したくないシーンもあって…でも本当は自分がどう生きていたいのかを考えさせられ、徐々に露わにされていく。
今鑑賞できてよかった映画だった。

P.S.
やさぐれた夏帆がめちゃくちゃによい。
今までで一番やりたい役に出会えたとのことで、やっぱりこういう役やりたかったんだなーってなった。素敵だった。
シム・ウンギョンもやっぱり凄いなー!
新聞記者のときとは全然違うキャラクター。
ウザいくらいに天真爛漫だった。
伊藤沙莉が田舎スナックに絶妙にいそうな感じなのもなかなかによかった。笑
南果歩もさすがの演技だった。

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