シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】マチネの終わりに 〜未来によって過去が変わる〜

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マチネの終わりに

東京、パリ、ニューヨーク。
世界のどこにいても、あなたを想う。
それだけで、今日を生きられる。

暑い日々が過ぎ去り、四季の中でも最も落ち着き、かつ地に足がついているような季節。
ちょうどそんな秋にぴったりの作品。

とても切なくて美しい。
地に足がついている大人たちのおしゃれで上質な恋愛映画。
物語と主演2人の関係性が『ラ・ラ・ランド』と近しいものを感じる。

未来によって過去が変わる。
終始その意味を噛み締めながら余韻に浸れる123分。
昔あった辛かったこともよかったことも、全ての経験が未来を歩んでいくことで、(その事実は変わらないが、)捉え方や解釈が変わることがある。

今がよければ全てよしではないが、過去の色んな経験は未来を変えることでよい思い出にもよくない思い出にもなっていく。
じゃあそれをどう更新していきたいだろうか。
やっぱりあの経験もよかったんだと今の(理想に近づいてきている)自分に繋がってたんだと思えるような過去にも今にもしていきたい。

過去をよいものに変えていく(よいものとして捉えられるようになっていく)ためには、どんな心持ちで今を、未来を歩み生きていくのがよいのかを考えさせられる。
そういう意味では、やはり過去を過去のまま野放しにしておくのではなく、過去が今にどう繋がっているか、未来にどう繋がっていくかを噛み締めながら日々を生きていきたいなと感じた。
ずっとは無理でも節目節目では噛み締めて、そのときに過去全てに感謝できるような人生を送りたい。

本作ではその辺りを恋愛を軸に考えさせられた。
そこに運命的な出会いは密接に関わっていて、出会ってしまったものをなかったことにはできない。
それにより未来が変わって、過去が変わっていった。
その人にとっての一番の転換期である。

途中で恋愛において、一つの側面から見たら許すことのできないシーンがあり、通常であればあそこから何もかもが崩れていくというのがセオリーであるだろう。

でもあくまでそれをも今の自分を作っているものとして、肯定的に、前向きに捉えて生きている本当の意味で大人な人たちがとても印象的であった。

誰もが誰かを想って誰かのために生き続けている。
そこには理解できない行動や言動も確かにあったが、全てのそれらの背景や想いを知ったときに、自然と誰もを責めることができなくて、そういう行為そのものが彼らには無縁で仕様もないことなんだなと、感情を露わにしたり敵対心を持たない姿勢に対して腑に落ちた。

よい意味で感情的にならない。
自分だけでなく相手の気持ちも理解しようとした上でなされる行動に、とてつもない度量の大きさを感じた。

特に小峰洋子(石田ゆり子)の生き様が本当に素敵だった。
これぞ大人の女性という感じで、佇まいや言行など、全てが魅力的だった。
逃げ恥の百合さんと照らし合わせてしまった自分がいた。
石田ゆり子は本当にこういう女性像が様になる。ハマりすぎている。
切に幸せになって欲しいと願いたい。
いつどんなときも自分で道を切り拓いていける洋子にはそんなこと必要ないであろうが。

そして物語を全て包み込んでいきながら持って行く蒔野聡史(福山雅治)の幸福の硬貨。
しばらく聴き続けて余韻に浸っていたくなった。
ここ数日は1日に数回聴き続けることになりそう。笑

全員が「それだけで、今日を生きられる」んだなと。
ラストの落とし込み方もめっちゃ好きな感じだった。
程よく余韻を残してくれる感じがたまらない。

結局くっつくことはないんだろうなー。
でもその関係すらも肯定的に、愛おしく捉えてるんだろうなー。

音楽と演出、情景全てがこの上質な世界観をより後押ししていてよかった。

大人な恋愛を軸に、生き方や人生の捉え方、はたまた大人とは何かを考えさせてくれた作品。
過去をよりよく解釈できるように未来をよくしていこうと前向きになれる。

この季節に鑑賞されるのがおすすめです!
時間があったら原作も読んで噛み締めたい。

P.S.
福山雅治石田ゆり子桜井ユキ伊勢谷友介板谷由夏風吹ジュン古谷一行
この大人向けで上質な映画になること間違いなしのキャスティングがよくて、かなりハマってました。
石田ゆり子桜井ユキが特によかったですね!

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