シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

映画やドラマをメインにコンテンツの感想記事と生き方やキャリアを考える上で参考になりそうな記事を書いていきます。

【映画】愛を語れば変態ですか 〜愛の倫理観ぶっ壊しコメディ〜

f:id:takuro901:20190917155332j:image

愛を語れば変態ですか

タイトルがキャッチーなのと72分でさらっと観ることができそうだったので、評価はなかなかによくなかったけど鑑賞。

一見ごく平凡な夫婦あさこ(黒川芽以)とその夫(野間口徹)はカレー屋を営むことになっていて、オープンを翌日に控えていた。
そこに風変わりな男たちが次々とやってきて、あさことの関係があったことを知り、場がどんどん入り乱れることになっていく。

 

日本的美意識である価値観に対して、真っ向から衝突させてくる衝撃的なラブコメディ。

まあ評価が悪い理由も物凄くわかる。
これは日本で受け入れられるような作品ではないし、日本的に真っ当に生きている人であれば不快な言動や行動が多く、なんやねんこれとなり、呆れたり受け入れられない方も多いだろうなーと思う。
思ったのとは全然方向性が異なっていた。

 

序盤はやっぱりあさこの夫にどうしても感情移入してしまう。
嫌いになれないからこそを利用して、何に対しても自分を悲観的に捉えたり、論点を変えたり、優柔不断になったとしても許されるし許してしまう煮え切らない感じに対しての不快感は確かに感じられる。

そんな煮え切れない中でさらにがっつりと入り乱れていく会話劇は、後半の強烈なメッセージに繋がっていく。
日本の確固たる価値観である結婚において一生の愛を2人との間に誓い、それを続けることに対してのアンチテーゼを大胆な展開で表現されている。

 

あさこは結婚したからといって一人の人だけを愛することへの違和感を強く感じていた。
だから夫が提案したカレー屋を2人の店として営むことへのアンチテーゼを並べていた。

そんな誰もを愛したいあさこに対して、それがわかっても嫌いになれずに翻弄されていく男5人。
自分が一番なんだというあさこにとって意味のない不毛な争いに嫌気がさしたあさこが最後に暴走する。

 

一人の人だけに愛し愛され生きていくことへのアンチテーゼとして、出会う男全てに愛の形としてのキスをしまくって、たくさんの人に愛を届け幸せを与えていこうと走り出す。

それでも放っとけずに追いかけてしまう男たち。これが日本的である男の性とでも言いたいのであろうか。

あさこの行動を全く理解できない男たちの代表として夫があさこに相対したが、結局2人はわかり合えずに、あさこに負かされ流される形で追従していき、物語がエンドを迎える。

 

あさこが男たちに流されて生きていたかと思いきや、実は一番確固たる自身の軸を持って生きていて、流されてたのは実は男たちだったというオチ。
これは多くの日本人にとっては全くもって理解し得ない不快さのある作品であると感じる。

このように圧倒的マイノリティの主張を極端に振り切って立場を明確にし、価値観を一新させようとするその心意気は凄いと思うが、やっぱりこのような内容だとまだまだ薄いし、言いたいことはわかるけど、こういう考えもあるよねとはならない方も多いのではないか。

 

もっと愛を一過性のものではなく、濃いものとして描いて欲しかったし、愛の多視点の表現、アウトプットの形を明示して欲しかった感はある。
誰彼構わずキスをするという落とし込みは、美人だからこそできることであるという前提が入ったとしてもやっぱり弱い。
愛の形は色々あるから何ともだけど、もっとちゃんとした「愛」を語って欲しかった。

一瞬だとしても多幸感を与えることこそが愛であり、それを一人でも多くの人にしていきたいという価値観への落とし込みであれば今作はあり!

 

まあ前提として、私はこういう作品嫌いじゃないです。
客観的に見たらそうだと思うだろうという意見を述べているだけで。
中途半端じゃなく振り切ってるからこそ評価も完全にわかれるし、一定気づきとして与えられるもの、ハッとさせられるものがありますからね。
ただ、72分だとこれが限界ですかね。
男たちの登場人物は5人いらなかった説もあるかも。

 

P.S.
女優としてわりと好きなんですが、黒川芽以はもっと出る作品を選んで欲しい感はある。笑
「美人が婚活してみたら」もまだ観てないけどなかなかハードモードっぽいヒロインだし、正統派な役や重めの作品のヒロインとしての黒川芽以も見てみたい。

#映画 #愛を語れば変態ですか #福原充則 #黒川芽以 #野間口徹 #今野浩喜 #栩原楽人 #チャンカワイ #永島敏行 #邦画 #映画好きな人と繋がりたい