シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】いなくなれ、群青 〜約束しよう。私たちは必ず、また出会うんだよ。〜

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いなくなれ、群青

約束しよう。
私たちは必ず、また出会うんだよ。

個人的な2019年ベスト映画が更新された。
町田くんの世界orホットギミックかなと思ってたけど、ここへ来てとんでもない作品に出会えた。

美しすぎる人と人の邂逅。
これこそ人が生きる上での、極上の理想郷。
現代社会へのアンチテーゼとして綺麗に、繊細にぶつけてくる。

 

幻想的な世界を地球上に、現実にも転化できそうな、でも一筋縄ではいかない絶妙なラインの実現できそうな最高の理想郷を、この映画は見事に創り上げてしまった。

そうそう、この世界を諦めたくない。
むしろ何でこの世界が簡単にできあがらないのか。
この世界が好きすぎて、思わずのめり込みすぎた。

町田くんの世界が理想と言っておきながら何なんですが、この世界はそれがもっと完成された理想。
しかもその理想を、色んな人の現実世界では捨てられた嫌な部分の自分を軸にした物語であることを前提に創られていくのが本当にたまらない。
それらが交わることで、こうも素敵な化学反応を起こしてしまうのかと。
自分を出しながら、それぞれを補い合いながら、それでいて変化しながら生活を営んでいけることの尊さを強く感じた。

階段島が初めから理想郷であったわけではない。
真辺(飯豊まりえ)が入ることで変わっていった階段島こそが理想郷なのである。
物語が進んでいくごとに、答えが出る前に答えにたどり着くことができたが、そうなったときに明らかに階段島にいるべき人ではなかったのが真辺だった。
でも彼女がいなかったら階段島は理想郷とはなり得なかった。

 

理想郷はただただ痛みが伴わない世界ではない。
階段島は確かに絶妙に居心地のよい場所だった。
自分に意見を言ってくる人もいなければ、深く考え込むこともしなくていいし、衣食住は何もしなくても担保されているし、情報は受け取れるし、何不自由のない場所である。

 

そこに違和感を感じられるのは、やはり自分の意思をしっかり持ってその通りに動いていきたい、本当の意味で人との関わりに妥協したくない真辺みたいな人間だけである。

荒波が全く立たない人との関わりの中では、その人それぞれの自分らしい物語が進むことはない。
人と人は出会うだけでなく、踏み込んだり関わり合ったりすることで、新たな自分らしい物語としての歩みを進められる。

階段島に真鍋が入ることで、その中にいる人同士の関係がやっと作られ、それぞれの心境や生活に変化が生まれ、確かに本当の意味でその人の物語が積み上がっていく。

 

人間が人間らしく生きられる状態というのがまさにそのような状態になることであった。
当初の階段島はいわば平和の洗脳に近い感じで、真辺が踏み込んだ先にできた階段島は自分の意思を持ちながらそれぞれを尊重し合う真の平和な世界。

階段島はなぜこんな理想的な世界を成していたのか。少し考えてみた。
そこにはどんな人間をも否定する構図がないからだと思った。
支配、権力、競争、家族(これは一部)、同調圧力
意図せずとも上と下が作られる要素を排して人と人が全員同じ目線、立ち位置で関わり合っているから、そもそも人が人を否定する権利を誰も持っていない。

あくまで「お前はダメだ」ではなく、「私はこう思うけどとかこういう見方もあると思うよ」というコミュニケーション。

それはあくまで相手を否定するのでなく、ただただ正しいと思う自分の意見を述べるだけのこと。
踏み込むにも卑しさが全くない。本当にその人のために踏み込む。

それを受け入れるか受け入れないかはその人の自由で、こういう世界では言われた相手はプライドすらも入り込む余地がなく、意思決定を取捨選択できてしまうのである。
そう、この世界には無駄な見栄やプライドが一切必要のない世界だった。
そんな世界って、素敵すぎやしませんか。

捨てられた部分の自分の要素で形作られた人たちが、それぞれの踏み込んで欲しくないようで踏み込んで欲しいところに、上記のような感じで絶妙に踏み込み合っていき、それによって誰もが人間として生きている心地を手に入れていて、その先に自分らしく前向きな人生を歩んでいく。

本当に理想郷だった。こんな世界創りたい。
そしてそんな世界の地盤を作っていたのが、堀(矢作穂香)と魔女であったというのもまたよかった。
あの2人まさか実は親子だったりするのかな。

 

サイレントマジョリティーみたいな曲が出てきて、一斉を風靡してしまう世の中はやっぱりよくないと思う。

P.S.
キャスト、飯豊まりえと横浜流星が最高だった。
幻想的な理想郷にこの2人が様になり過ぎていて眩しかったー!

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