【映画】長いお別れ 〜築かれた長年の関係性の強さと温かさ〜
長いお別れ
だいじょうぶ。
忘れることは、悲しいだけじゃない。
厳格であった父親が認知症になることで、家族が再度触れ合っていき、また新しい家族が始まり作られていく物語。
認知症のことを、徐々に記憶がなくなり、忘れていくことから、「長いお別れ」と呼ぶらしい。
認知症になることは、家族に迷惑をかけてしまうだけであると思いがちにどうしてもなるが、なったからこそ、それをもとにまた家族が触れ合い、気づくことも思い出すこともあって、それぞれの人生にもよい変化が生まれ、前進していくきっかけになる。
物語が良くも悪くも綺麗すぎる内容。
家族、夫婦がいずれも東家みたいな関係を築くことができたら、多幸感に満ち溢れるんだろう。
そんな理想の家族の形が丁寧に描かれている。
だから逆にプレッシャーをも感じる。笑
境遇の違う夫婦像と家族像が共存することで、理想がより際立っていたのもある。
温かみのある東家と無機質を象徴する今村家、それとまだ夫婦という関係を作れていない芙美と。
夢も恋愛もなかなかうまくいかず自信が持てない芙美、自らの父と母みたいな夫婦関係を築きたいと願うのになかなかうまくいかずに悩みだけが消えずに積み上がる麻里、あらゆる境遇を描きつつ、認知症の父と触れ合いながら、好転していったり希望が見え隠れしていく展開が優しすぎた。
当人が忘れていったとしても、家族は誰も父を忘れないし、むしろ忘れることで、より思い出すことがあって、愛は消えるどころか深まっていく。
結局何があったらその人なのか。
今まで積み重ねてきた年月と一つ一つの思い出。
過ごしてきた時間こそがその人にとっての大切にしたい相手になるから、よっぽどのことがない限りその人はその人なのである。
映画の終わりの先にはそれぞれの明るい未来がイメージできる。
一人一人がおそらくこうなっていくんだろうなというのがわかって微笑ましくなれる。
現実はそんなに甘くないかもしれないけど、こんな世界が至るところで生まれてくるととてもいいなーと純粋に思える。
湯を沸かすほどの熱い愛も個人的には好きやったけど、あの作品は人によっては説教じみさというかスタンスが偏っていてちょっとみたいな人もいたと思いますが、今作はそういうのがなくて、よりじんわりと優しく心に沁み渡ってくるような作品になっていた。
ベースがまさに中野量太監督らしい人と家族の理想の描き方だなと感心した。
人の優しさや温かみを感じたい方は、ぜひ観てみてください!
P.S.
蒼井優と竹内結子がやっぱりいい。
蒼井優は特に家族物もがっつりハマる!
さらに山崎努の演技はもうさすがでリアルすぎて、本当に認知症の方みたいだった。
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