【音楽】ひとりごと / BUMP OF CHICKEN 〜優しさとは?〜
中学時代からずっと聴き続けてきたBUMP OF CHICKEN。
ロック音楽への入りは間違いなくBUMPで、当時は何かかっこいいから聴いていたバンドが、大きくなるにつれて、歌詞への共感、深さといった別のハマり方をしていく。
好きなバンドはたくさんあるので、もちろん一時期はだいぶ聴くことから離れたときもあったけど、節目節目に彼らの音楽を聴きたくなることがある。(最近の曲はあまり知らないが・・・)
そんなBUMP OF CHICKENの曲の中で一番好きな曲が、「ひとりごと」
「orbital period」というアルバムに入ってある一曲であり、シングルにはなっていない。
ひとりごとがなぜ好きなのか。
それは、答えを出すことが難しい壮大なテーマ「優しさ」について、藤原基央さんなりに考えた経過と答えが導き出されていき、その回りくどい「優しさ」の表現(答え)に、自分自身が救われたこともあり、自分なりの解釈も加えることで、「優しさ」とは、どういうことを言うのか、整理することができたからでもある。
偽善という言葉がはびこる現代、「誰かのため」を思ってとる行動が、偽善や甘いと言われ非難の的になることがある。
優しさって何だと思う?
「ひとりごと」では、誰かとの間にのみ、それはあるもので、受け取る側が感じるもので、少しでもその人のためを思って何かをすることで、受け取る側が優しいと感じてくれたらそれが優しさである、と自分は解釈した。
一番では、自分よがりな優しさは優しさではないことを伝えている。
自分が笑いたいから相手を笑わせている。
人によく思われたいという自分の感情が先にきて、自分の優しさを押し付けてしまう。
それは本当の優しさじゃないのでは、と優しさと自分のエゴとの葛藤に揺れている。
二番では、心の中にあるのはやはり「自分」が先に来ての行動になってしまうことを再確認し、「自分が先に来ない相手のためになるもの」を、渡したいけどなかなか渡すことができないもどかしさが書かれている。
そこから視点を外に向けて、相手から受け取った何かを想像することで、少しずつ「優しさ」というものは何か、に気づき始める。
優しさとは、知らないうちに受け取る側が感じることであり、やはり相手との間の中にあることが伝えられている。
二番サビでは、優しさが自分よがりになってしまう(偽善と捉えられてしまう)くらいなら、自分は優しくなんかなりたくないと、優しくなりたい自分となりたくない自分に葛藤し、そんなことを考えている自分が一番ひどいと自己嫌悪に陥っている。
こんなことを考えているなんて、頭がおかしくなったような気がするけど、そんなことはない。
少しずつ優しさがわかってくる。
自分は何も望まずにその人のためになれることを探せばいい。
そう、考えすぎだ。
相手が笑ってくれる、そうすることで自分も笑うことができる。
一番の歌詞が伏線となり、そんな単純なことが「優しさ」になるんだと気づけた瞬間。
自分よがりかどうかは、そこまで関係なくて、相手が優しいと思ってくれたら、それこそが「優しさ」なのである。
最後の持っていき方がとても好き。
一人では無理なことだから 誰かとの間に在るから
どちらのものでもない 名前のない それだけに出会いたい
ねぇ 優しさって何だと思う もう考えなくたっていいや
本当さ 僕ら知らないうちに 僕らで作ったよ 二人で出会ったよ
これが優しさの藤原基央さんなりの答え。
別に優しいかどうかについてなんてそこまで深く考えなくていい。
誰かとの関わりの中で、誰かがして欲しいことがわかってきて、その人のために何かしたいと思い、それが行動に移る。
相手もまた自分のために、そんなことをしてくれる。
そういうことって別に優しくしてあげたいとかそんなことは考えずに、知らない間にしてあげたいと思うこと。
「優しさ」とは、誰かとの間で徐々に作り上げていくものである。
本当にすごい曲を作るなーと感心しまくった一曲でした。
「優しさ」を受け取る側から書いた曲「透明飛行船」もあわせて聴くと、より深まります。
ぜひ、聴いてみてください!