【映画】関ヶ原 〜戦国武将の生き様〜
関ヶ原。
もしも石田三成が、天下分け目の関ヶ原の戦いで勝利を収めていれば・・・と考えてしまう。
歴史においてたらればを考えたらキリがないが、本当に歴史は大きく変わっていただろう。
こんな感じで、歴史はただ流れだけをさらっと学ぶのではなく、その時々を生きてきた人、当時の背景や環境を掘り下げれば下げるほど、おもしろみが増してくるし、よりイメージを膨らませたくなる。
自分は歴史が好きで、特に近現代史が好き。
時代の流れだけを勉強していると、近現代史は(覚えずらいし小難しいし)嫌いという人が多いが、一つ一つの決断の背景や理由、時代背景などをあわせて深堀り知っていくとおもしろい。
この映画も、関ヶ原の戦いだけを見せられるとおもしろさは半減していただろう。
豊臣秀吉が天下統一していたところから、それぞれの思惑や想い、あらゆる行動に至るまでの背景まで描いてくれることにより、「なぜ関ヶ原の戦いが起こったのか、起こさないといけなかったのか、必要であったのか」が、より深く理解できる。
おっと、前置きが長くなってしまった。
今作は、豊臣家に忠誠を尽くし続けた石田三成の生き様を軸に、「関ヶ原の戦い」が描かれている。
あれほどの大きな歴史上の戦いであったのにもかかわらず、徳川家康と比較すると石田三成にスポットが当てられることは少ない。
たった6時間の天下分け目の戦いが起こるまでに、様々な駆け引きがあった。
私自身、西軍側に好きな武将(大谷吉継は一番好きな戦国武将、島左近)が揃っていることからも、個人的に石田三成の方に思い入れがある。
なるほど、大谷吉継や島左近のような本当に素晴らしい武将が、石田三成に尽くす理由がこの映画を観てわかった気がする。
これほどに純粋で、仲間思いで、嘘をつかない。
さらに天下統一を成し遂げた先に、描いている像がとても美しく、石田三成のことを知れば知るほど、信頼ができる。
忠誠心も非常に強く、理想の合う秀吉の側近としては、本当に素晴らしい武将であったのがわかる。
実際に忠誠を尽くすこととリーダーとして人を巻き込み、引っ張っていくことは、難易度にも雲泥の差があるんだな。
石田三成と徳川家康、どちらも頭脳明晰であるのに変わりはなく、兵力などを見ても西軍側が勝ってもおかしくなかった戦だと思う。
それでもなぜ西軍側が負けてしまったのか。
それがリーダーシップの差とこの時代では特に大切であった、世渡り上手で柔軟に人に合わせることができること、良くも悪くも悪知恵が働くこと、容赦がないこと。
徳川家康には、揃っていた。
(阿茶(伊藤歩)を何のためらいもなく、赤耳(中嶋しゅう)と一緒に殺すシーンはさすがに「こいつやばい」と思った。)
対して石田三成。
純粋で、人のことを信じすぎるがゆえに、裏切りを予測できない。
自分の正義(軸)を揺るぎなく持っているがゆえに、柔軟に合わせることができず、敵を作ってしまう。
仲間、愛する人に対して、情に厚すぎるがゆえに、舵取りをすべき自分が自ら乗り出してしまう。
(石田三成がデールカーネギーの「人を動かす」を読んでいたら、もう少し変わっていたかもしれない。)
でもだからこそ本当に彼を見ている者は、裏切らずについてきてくれて、一緒に目指していくものに対し、様々な意見を言い合える、許し合える。
今作を見て、さらに大谷吉継と島左近が好きになったのは言うまでもない。(もちろん石田三成も)
負けてはしまったが、ここまで信頼できる仲間に巡り合えたこと、信頼を積み重ねてこれたこと、自分を犠牲にしてまで守ろうとしてくれたこと、自分の義を最後まで貫き通せたこと、愛し合える初芽(有村架純)に出会えて少しではあるが愛を分かち合えたこと。
生き様はとてもかっこよかったし、彼は幸せだったんじゃないかと思う。
石田三成に仕えた忍び初芽と徳川家康に仕えた忍び阿茶。
時代が時代だから仕方ないとは言え、どちらが幸せと言えたであろうか。
愛に溢れた石田三成は、今後も偉大な人物として語り継がれて欲しい。
キャストは豪華すぎて言うまでもないが、初芽に有村架純、阿茶に伊藤歩だけで個人的にはもう満足!
「日本のいちばん長い日」とこちらを観ることで思った。
きっと原田眞人監督は、歴史が好きなんだろう。
だからこそ全く知らない人にとって、少々内容は難しい気もする。
評価が割れてるのもそれが理由かな?
前編後編わけてもう少し細かくやってもいいくらい。
勉強してから鑑賞されることをおすすめします。
P.S.
歴史をもっと深く知りたくなる。
よし、近々関ヶ原に行こう。そんなに遠くないし。