シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】君の膵臓をたべたい 〜淡く切なく美しい青春物語〜

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ひたすらに美しかった。
情景もストーリーもとても美しい。

デジタルな時代でも、やっぱり人と人は出会い、直接会って話したり、心を通わすことによって解き放たれていく緊張感があり、新しい自分を見つけられる、少し人生が楽しくなる、そんな素晴らしいことに着眼されている映画。

さらに、完全に対照的な2人が、関わっていく中で、それぞれの凄さやよい部分を素直に受け入れられて、お互いが惹かれ合っていく、学生とは思えないとても美しい大人な恋愛に、心を持っていかれるような作品でもあった。

1人でいることで自分の世界を守り続けていた青年(北村匠海)と膵臓の病気で余命少ない天真爛漫でクラスの人気者の女の子桜良(浜辺美波)。
普通であれば、心が通うことのなかった2人。

出会わなければお互いがそれぞれの世界で完結していくような人生が、お互いがふと選択した行動(「共病文庫」を拾うこと)をきっかけに出会い、こうも大きく変わる。

それこそ桜良が積極的に関わっていなければ、青年がそれを受け入れていなければ、こんな素敵なストーリーは生まれない。
1つ1つの選択や行動により、人生って本当に色んな方向に転がっていくのがわかる。

いきなりではなく、関わっていく中で見つけられていく、また変わっていくそれぞれのお互いに対する印象や見方。
知れば知るほどどちらもがどちらもを放っておけなくなる感覚はわかるようなわからないような…自分にも経験があるような妙な親近感が湧く。

振り返ってみると、自分の人生の中でも、記憶に残っていることや転機になったと感じること、よい体験だったと思えることって、やっぱり1人でいるときではなく、誰かと関わり合ったり向き合ったりしているときで、それも大抵は自分とは真反対の性格や価値観を持っている人、もしくは自分に持っていない何かを持っているような人との関わりから心を動かされたことにより、生まれているものであることが多い。

そこには1人でいるときでは決して経験することや感じることのない価値観や考え方との遭遇、自分の世界が何か広がったような不思議な感覚があって、自分の幅のようなものが広がると感じるから。

過去の体験の中で、今の自分が作られる。
その断片にこんな素敵で、淡く切なく、忘れられない日常がある人生もよいものだなと。

実際に青年は人と関わることを避けてきたのに、桜良の一声で教師になっている。
あらゆる節目に彼女のことを思い出している。
でもそれはその人と出会わなければ、関わらなければ、決して生まれない出来事。

人と関わり合いながら生きることの素晴らしさや大切さ、1日1日を生きることに対しての重み、生きることの意味がこの映画にはぎっしりと詰まっていた。

そして、「君の膵臓をたべたい」の意味。
あえて意味深な抽象的な表現にし、ストーリーを追うごとにわかってくるこの意味の深さが、さらに作品によさを際立たせている。
それ以外にも、遠回しに意味を伝えるようなセリフ回しが多かったのもよかった。

浜辺美波、初見でしたが、彼女の演じる桜良が絶妙だった。
天真爛漫に見せるくせに、思考が深く、見ている世界が変わっていて広くて常に新しい気づきを与えてくれる。
それは青年も惹かれていくわけですよ。

最後の「共病文庫」で感動間違いなし!