シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】ハクソーリッジ 〜正気でない宗教信仰がたどり着いた境地〜

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「正気じゃない」という言葉が何度か生まれていたが、この作品を実話だと知って観て、宗教信仰における信念の強さは、本当に正気ではないんだなと感じた。

「沈黙-サイレンス-」もあわせて観ると、より「宗教信仰」の覚悟と凄さと深さに触れられるんじゃないかと思う。
個人的には葛藤までもを感じられる「沈黙-サイレンス-」の方が、宗教信仰にあたっての見応えはあった。

もちろん、「仲間を助けるために」というのが根底にはあり、そちらの想いの方が強かったかもしれないが、描かれ方としては宗教信仰が彼のあの死を覚悟しての行動に繋がっていたと読み取れる。

デズモンドの幼少期、大人になってからの女性との出会い、戦地へ、と話が展開されていく。
幼少期や大人になってからのアメリカでの生活、家族との関係、彼の戦地に行くまでの人生の岐路から、悲惨な地との対比と彼の信念、行動の原点までもを知れる展開となっている。
ただの戦争映画ではない。

そしてやはり見所は、戦地に行ってからの彼の行動や言動。
舞台は太平洋戦争の沖縄戦
自ら軍隊への志願をするが、武器は持たずに、衛生兵として負傷兵を助けることだけを志願する。
初めはそんなデズモンドを周りは受け入れられず、何度も除隊を勧められるが、彼は彼なりの信念を貫き、衛生兵であることを志願し続ける。

余談ではあるが、この時点でアメリカと日本の違いを感じるのは言うまでもない。
日本は徴兵制で、兵隊が募られていたのだが、アメリカではまだ志願兵で戦え、戦えない人を除隊する余裕があることがわかる。
日本はやはり追い詰められていたんだなというのが、ここでよりわかった。
日本ならデズモンドは最後まで受け入れられず、英雄になれなかったでしょうね・・・

愛している人ドロシーにも銃を持つことを勧められる(プライドで拒んでいると言われる)が、彼は拒み続ける。
それには、一度銃を持ったことのある経験があったからであった。
「汝、殺すことなかれ」の大切な教えを守り続けた。
プライドと信念は紙一重。

戦争という「人を殺す」のが正義、当たり前とされていた場所で、「人を殺さず人を助ける」という宗教信仰からくる強固な信念を突き通し、結果今まで誰も成し遂げなかったことを成し遂げ、多くの命を救った。
誰でも逃げたくなるあの戦場で、人を助け続けた姿に感銘を受けたとともに、「正気じゃない一人の姿」を観て驚きを隠せない自分もいた。

ただ、このように「正気じゃないこと」が、人を救う正義の方向に向かうことを感じれたのはよかった。
(宗教や宗教信仰というものに、よいイメージがない自分にとっては…)

戦場でのリアルな描写、アメリカから見た日本、特に最後の死をも恐れない日本兵の姿はどうしても映画の中に入れたかったんだろうなと、色んな面にこだわりを感じた作品。

日本兵の描かれ方はイメージであれだと思うけど、ここには賛否両論がありそうな・・・良し悪し両面あり。
でも邦画の戦争映画も、その辺は何とも言えないですから、ここはあんまり気にしないで鑑賞した方がよいかも。

戦争の悲惨さをこれだけ伝える映画が多いと、さすがにもう戦争はしないですよね、各国の政府と願っていたい。

「沈黙」に続き、今作もアンドリューガーフィルドが名演。
出てる作品だけでも好感が持てる俳優の一人です。