シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】そして父になる 〜父親として、仕事人として〜

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6年間育てた息子は、他人の子でした。
以前土曜プレミアムでやっていましたね。

私は、以前にDVD借りてたからそちらで鑑賞しました。

父親、母親、そして家族とは。
何をもって「父」であるのか、「母」であるのか、「家族」であるのか。
「父」として大切なこととは何なのか。
現実に起こらなさそうで起こり得る設定から、現代において考えるべき壮大なテーマについて、考えさせられる映画。

11月、慶多(二宮慶多)のお受験の面接から始まる。
病院から突然の呼び出しで、出生時に子どもの取り違えが起き、実の息子は別の家族の子であったことが発覚する。

子どもの取り違えから、野々宮家と斎木家の交流が始まる。
野々宮家と斎木家は子どもの育て方から子どもの人数、両親の性格や職業が全然異なっている。

野々宮良多(福山雅治)は、血の繋がった斎木家の子ども(黄升炫)と暮らし、自分の方針で育てること、斎木雄大(リリーフランキー)からの言葉や交流により、「父」である自分の在り方について、正しいのかどうか、を葛藤しながら日々を過ごす。

さらに、6年間育てた子か、血の繋がった子。
このまま育てた息子と暮らすか、血の繋がった他人の子と暮らすか。
子どもを交換すべきか、このまま育てていくべきか、に葛藤していく中で、今まで直視していなかった(知らなかった)慶多の思いを知ることとなる。

父親としての自分が、息子にもしっかりと愛として伝えられていなかったことを知り、「父親としてよくなかった自分(ちゃんと慶多のことを見ていなかった自分)」を受け入れる。

父親」であることと「仕事人」であることはわけて考えないといけない。
やってること(普段の生活と仕事)だけで、父親としてのその人をも蔑むのはやっぱり違うよなー。
仕事を理由に父親として子どもと関わること、向き合うことを疎かにしてはいけないし、逆も然り。
そして、これ(両方大切にすること)が本当に難しいことであることが映画を通じてわかる。

「父」になることとはどういうことであるのか、話が展開されていくにつれて、気づいていく良多。

「父よがり」に子どもを育てていくことはよくないし、子どもには一つのことや狭い世界だけでなく、広い世界やたくさんのことを見せてあげて、自分で考えられるような子、色んなことを楽しめるような子に育ててあげないといけないなーと感じた。

ラストで、至らなかった自分を認めて、慶多に謝る姿が印象的。
結局家族において大事なのは血が繋がっているかどうかではなく、愛があるかどうか、しっかりと向き合えているかどうか、であることが是枝監督が伝えたかったことなんじゃないかなと思った。

お受験面接時の「凧揚げ」が、途中と最後の伏線になっていたのが、細やかな演出と、難しいテーマを、(現実味は薄いにせよ)設定からしっかりと緻密に一つの物語として作って完成させる是枝監督は、本当にさすがだなと感じました。

こういう現代における考えないようでとても大切なテーマを、考えさせてくれる映画はやっぱり好みだし、是枝監督らしくてよい。

父親になることの覚悟はやはり相当で、妥協すべきこともおそらく増える。
それでも父親になることはそれだけ尊いことなんだろうなーと。
全国の父親(特に子どもとしっかりと向き合っている父)に尊敬の念を抱きます。

いつか映画を作りたいなんてと思うけど、まだまだ経験できていないことが多すぎるし、まだまだ浅い人生すぎる。
こんな深い映画(テーマも含めて)を、自分も作れるようになりたい。