シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】THE 15:17 TO PARIS 15時17分、パリ行き 〜導かれるままに〜

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15時17分、パリ行き(THE 15:17 TO PARIS)

これはまた新たなノンフィクション映画の見せ方で、「アメリカンスナイパー」とは全然違う斬新な展開で事実を基に描いている作品だった。

事実を基にする映画の特徴としては、事実起こった事柄をベースに、重要なポイントにおいて、過去を反芻していく展開の作品が多い中、今作は全く異なっていた。

起こった事実をベースに展開するのではなく、テロを阻止した(アメリカで言うなればヒーロー)3人の生い立ちからテロが起こるまでをベースに物語が展開されていることで、いわゆる「普通の人(一般人)」においても、起こり得る事象であることを、上手に伝えれているような感じであった。

さらに、今作においては、キリスト教学校、神やらの信仰的要素が入ることで、生い立ち〜テロに至るまでがしっかりと描かれるのと相まって、まさにこのテロ事件において、彼らがそこにいたことと行動を起こせたこと、たくさんの方々を助けることができたことを、運命的に描いているのである。

行動を起こすべくして起こした、テロ事件に居合わせるべきして居合わせた、犯人を捕まえるために保有すべき能力を保有すべくして保有していた、撃たれた一般人を助けるために必要である知識を保有していた。
全てが今までの巡り合わせで、全ての今までの人生そのものが、ラストのテロ事件での行動に繋がっていたことに鳥肌が立ったし、見事な場面展開で、こんな綺麗に流れていくような初めての映画体験をした感覚。

これは、人生において、何かしらがズレていたら、このようなことに至ってはいなかったことを示していて、人生において遠回りでも、うまくいかないことがあっても、納得しないことがあっても、思い通りにいかなくても、その一瞬一瞬を大切に生き抜くこと、一つ一つを大切にやる抜くことが、その先の何かに、自分たちが成し遂げたかったことを成し遂げられ得ることに繋がっていくことを暗に伝えているようだった。

スペンサー、アンソニー、アレクは、幼馴染で幼い頃から仲が良かった。
3人とも学校に馴染むことができず、誰とも馬が合わずに、どちらかというと迷惑行為を行うことで、先生や親を困らせていた。(というよりも、立ち回りが上手でなかっただけのようにも見える)
でも、根は本当に純粋でよい子たちであり、幼いながらも、戦争に興味を持っており、将来は自らも戦争に介入して人助けをしたいと考えるようになっていた。

色々とあり3人とも離れて暮らすようになったが、事あることに連絡を取り合ったり、3人の関係は途絶えることはなかった。
それぞれがそれぞれで職に就いたり、大学に通ったりと、それぞれの道を歩んでいた。

3人は、ヨーロッパ旅行に行くことになり、その道中において、15時17分初のパリ行き列車へと乗車し、座る号車を変えたまさにその号車で、タリス銃乱射事件が起こって、彼らの勇気と行動により、多くの命が救われたのである。
まさにそこに導かれたような展開であった。

幼少期の生い立ちから辿ったことによって、迷惑をかけたくないのに、親に迷惑をかけてしまったことに罪悪感を抱いていたスペンサーの本当は心優しい姿が、ラストでは誇らしい英雄として親を喜ばせることになる結末を生み、冒頭とエンドが対比で描かれていることで、感動がさらに膨れ上がったように思える。

それだけでなく、どちらかというと自分の貢献したかった道ではない中で行っていたことが、まさにタリス銃乱射事件時の全ての行動に繋がっていて、やっていたことが無駄じゃなく、むしろその場での多くの人助けに繋がるプランドハプンスタンスにより英雄になる姿はやはり観ていて美徳に感じた。

そして、親友でお互いを知っているからこその阿吽の呼吸、連携、お互いを信じること、ためらいのない行動、「行け」の伏線の回収。
本当によいものを見せていただきました。
これもまた、素晴らしい映画体験となりました。

運命なんてものは信じていなかったが、今作を観ると信じざるを得なくなった。

「自分を平和の道具に」という覚悟にはただただ感服。
そんな覚悟を自分は正直まだ持てない。

P.S.
今作は、本人が本人を演じていたみたいですが、演技に違和感がなかったのはもちろんのこと、だからこそのよさとノンフィクションを最大限追求するという意味でもすごくよかったと思います。