シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】ソラニン 〜社会人向け青春映画の金字塔〜

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ソラニン

私は歌う。
キミがいたことを証明するために。

高校のときくらいに鑑賞して以来に鑑賞。
この歳になっても変わらず、むしろ初めて鑑賞したときよりなぜか自分事として捉えられて、グッと来て、こみ上げてくるものがあった。
それなりに色んなものに触れ、人生経験を積んできたからこそだろうか。

夢を追いやりたいことをやって生きたい種田(高良健吾)とその側でただただゆるやかにそんな種田と時を過ごしたいと願いながら生きる芽衣子。

それ以外の周りの人たちも含めて、生きるためにしないといけないことに折り合いをつけて向き合っていく人生とやりたいことを思う存分やっていく人生を天秤にかけながらも、どちらにも決断し切れない葛藤を抱えつつ、日々を過ごしていた。

その揺れ動きは、内に隠しきれずに、実際の言動や行動に出てしまう弱さを露呈しつつも、何とか崖っぷちでもお互いの幸せと生きるためを考えて、必死に悩みもがきながら答えを導き出そうと日々を過ごしていく種田にグッとくる。
不器用ながらも優しくて純粋で正義感があって、でも自信がなくて、決められなくて…そんな人間らしさ(強さと弱さ)を持ちながら、結局折り合いをつけきれなかった人間が、一時的な幻想の幸せである今を思い知らされ、死に至ってしまうやり切れなさがひしひしと伝わってくる。

種田と緩くでもいいから一緒に平凡な幸せを感じながら生きたかった芽衣子(宮崎あおい)は、彼を亡くしたことで当然ながら、本当の意味での生きる気力を当分失う。
生きる意味を自分以外の他者ありきに置くほど、誰かのことを思えるのは本当に素敵だけど、それを失くしてしまったときの虚無感は計り知れないものであると思う。

それでも前に踏み出さないといけないのが人生である。
彼と生きることができなくはなったが、彼が届けたかった想いを届けることはできるのではと、やったことないギターボーカルとして芽衣子は立ち上がる。
それは、種田のギターを捨てることで、種田と生きてきた日々に折り合いをつけるのでなく、むしろ彼との人生に改めて向き合う決断をした瞬間でもあった。

それからというもの、種田を失くして、未来への希望もなく、今をやり過ごすように生きる決断をしていたビリー(桐谷健太)と加藤(近藤洋一)にも、また少しずつ人生の光が灯り始める。

決して大きい脚光を浴びるわけではないが、この物語を経験してるものだからこその最後の「ソラニン」がとんでもなく胸に響き、色んなシーンとシンクロして心が打たれた。
この作品を観て最後にソラニンを聴くと歌詞の意味がどんどんと入ってくる。

例えば「思い違い」は、種田と芽衣子の考えてることで、「ほんの少しの未来」は働きながらもバンドを続けていく種田の決意とそれを支える芽衣子の決意で、「ゆるい幸せ」は、2人が確かに周りに恵まれながら一緒に暮らした日々で、「悪いタネ」は、やりたいことをやりながら生きる自己実現の理想でなく、向き合いたくないけど向き合わないといけない現実で。

ソラニンが恋人との別れの曲じゃなく、過去の自分との決別であると捉えるその心には、確かに決断ができた種田の想いがちゃんと入り込んでいるということ。
それでも芽衣子にとっては結局、恋人との別れの曲となってしまった二面性をこの曲は持ってるんだと思う。
種田が歌う予定だったソラニン芽衣子が最後に歌ったソラニンは確かに違う。

大学を卒業し、社会人となる狭間のタイミングだからこそ芽生える様々な思いや感情を、そしてその中でのかけがえない人との繋がりと関わりがしっかり描かれていた作品。
その中には容赦ない現実があるからこそ、生まれてくるそれらであった。

自己実現の方法は人それぞれ違うと思うし、そもそもそれがない人もいると思うけど、競争が激しく一握りしかそれができない道を選ぶことの難しさと厳しさが、ちゃんと入っていて、そこにもやっとした感情が残るような作品でもある。

今作は、間違いなく社会人向け青春映画の金字塔。
恋愛なら種田と芽衣子みたいな関係が理想。

P.S.
宮崎あおい高良健吾、本当によかった。
特に少しやさぐれてる宮崎あおいがよすぎて!
最後の回想のシーンで種田が着ていたのはNirvanaのTシャツだった。
種田の好きなバンドはNirvanaだったのかな…カートコバーンもまた、折り合いをつけないといけない現実に悩み葛藤して亡くなっていったのかなと。
音楽の監修は、個人的にとても好きなバンド「ストレイテナー」のホリエアツシさんのソロプロジェクト「ent」であるのも含めて、本当に好きな作品。
また事あるごとに観たいなーと思います。

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