シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】ゲット・アウト(Get Out) 〜ミステリーホラーの皮をかぶった社会派映画〜

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ゲット・アウト(Get Out)

何かがおかしい

第90回アカデミー賞脚本賞作品を、遅ればせながら鑑賞。

ただのホラー映画かと思いきや、人種差別にしっかり切り込んでいて、人間の末恐ろしさをも深く描き、伏線の回収劇も見事で、見応えありでかつ映画的なおもしろさもあり、とてもよかった。

様々な要素が詰まりまくっていて、ジャンルが何なのかが難しいけど、強いてつけるとするなら社会派ミステリーサイコスリラーホラー映画。

主人公である黒人のクリスには白人の恋人であるローズがいて、ある日ローズの実家に挨拶へ行くことになる。
前提として白人至上主義が未だ蔓延ってるからか、親に認められるかを極度に心配するクリスに、ローズはうちの両親は大丈夫となだめて赴くことになる。

途中鹿を車で撥ねてしまったときに、クリスは何かを思い出したように鹿を見つめていた。
その後白人の警察官がやってきて、クリスに不要な取り調べをしようとしたところにローズが庇うように入っていき、事なきを得て無事ローズの両親の家に到着する。

到着後、異常なほどの熱烈な歓迎を受けるクリスは、黒人の使用者が2人いることも含めて、その空間そのものに違和感を感じていくことになり…。 数分に一度のペースで伏線らしきものが差別のメタファーとして上手に張り巡らされていき、後半にそれぞれが的確に回収されていく。

言動や行動も含めて、全てが直接的でなく間接的で、絶妙なバランスだからこそ、中盤まではおかしいと思いながらも気づかないリアルさをしっかりと感じさせることができている。

一番怖いのはわかりやすい差別でなく、その差別から来る人の感情を利用して入り込んでいく人たちである。
疑わぬ心を利用して、徐々に自分たちのフィールドに持っていき、気づいたときにはもう遅く、後戻りできずに洗脳されていく。
洗脳ってホラーよりホラーで怖いなと改めて思った。

わかりやすく白人と黒人に優劣をつけているわけではなく、黒人をターゲットにする理由そのものに、「その人自身でなく黒人」と一括りにする外見や身体能力という形に落とし込むこと自体が差別になってるんだという、盲点で気づきにくい潜在的差別意識を浮上させてくる。

なんかもう色々と不気味でおかしすぎて、途中からこういうことだろうなーというのはわかってくるけど、そのイメージ+αで斜め上を行く形にストーリーが展開されていくのが凄かった。

差別のメタファーとして張り巡らされた伏線を、アンチテーゼとしてクリスが反撃していく形に昇華させていき、あのようなラストに落ち着かせていくのは、もしかしたらあれこそが監督の願いというか、そうあるべきだと思っているという一番のメッセージなのかもしれないなと。

史実を忠実に再現することによって、そこへのアンチテーゼとしてのメッセージと余韻を残す作品は多くあるけど、エンターテイメントとしての映画の中にあらゆる要素とそれに対しての反抗を詰め込んでいき、蓋を開けたらメッセージ性が非常に強いものであったというこのような作品はあまり体験がなく、さらにここまで緻密なストーリーとなっていることで感じられるこの衝撃は唯一無二の映画体験。

get outには外へ出る、(乗り物を)降りる、逃げ出す、(秘密などが)漏れる、取り出す、助け出す、答えを引き出すと、様々な意味があるが、それらを網羅して全てがタイトルに繋がってるのも秀逸すぎる。

色んな観点から鑑みるとアカデミー賞脚本賞もより納得感がある。

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