シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【ドラマ】3年A組 今から皆さんは、人質です 〜話題性を逆手にとった悲痛なる社会派メッセージ〜

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3年A組 今から皆さんは、人質です

ミステリー要素が強めのキャッチーなタイトルと菅田将暉を筆頭に今を彩る若手キャスト陣の集結に冒頭の回の想定外な内容からよい意味でのギャップで、話題を一気にかっさらう。
エンタメ色の強い作品に見せかけて、蓋を開けると社会的要素だらけでメッセージ性が強い。

ラストメッセージは物語が進みにつれて大方予想がつくけど、やっぱり今作が秀逸だと思ったのは、上記のような形で話題を作り、全く別の要素に落とし込んでいく脚本。
いきなりシリアスで重すぎたら本当の意味で伝えたい人たちの興味をそそることができず、おそらく届かないだろうから、こんな形にすることにも意味があったように思える。

真相を明らかにしつつ一人ひとりに、人生における確かなる提言をしていく柊先生(菅田将暉)。
その真相を追う裏に様々な社会的問題とそこからのメッセージを入れていくのが凄くて、熱量を感じた。
色んな要素を含んでても何とか物語として成り立っていたのは、何と言っても菅田将暉の演技のおかげでリアリティが高まったからである。

感情に身を任せて過ちを犯していい年齢じゃない。
言葉と行動に責任を持たなければならない。
上辺だけで物事を見ずに、本質をちゃんと見て考えること。
これは世の中の大多数の大人に向けられた言葉でもあると感じた。
表面だけ見てSNSで批判しまくってる人はその最たる例なわけで。

その人が何でその行動をとったのか、言葉を放ったのか。
そこにどれだけ向き合っていくのか、が大事。
それでしか発見できないことがある。
それこそがその人の本心であり、本当であり、真実である。

昨今のSNS炎上を見てると本当にちゃんと考えられてない人が多すぎる。
それを言うことでその人がどうなる危険性があるか、その裏にどんな真相や真実が隠されてるか、そもそもその事象が本当かどうか。
特にネガティブな発信をするときはその前にもっと考えるべき。

自分は全ての事象を、簡単に二項対立にして片付けないことを大事にしてる。
そして一個人を極端に責めることは絶対にしない。
組織ならまだしも、個人は弱いから絶対に過剰に自分を追い込んでしまうようになっちゃうから。
そんなの結局誰も得しない。

また、発信するときは言葉を慎重に考えて選んでいる。
ネガティブなことには絶対ポジティブ、もしくは寄り添う観点の言葉を一緒に添えることを意識している。
それが少しでも救いになると思うから。

自分以外の何かに踊らされるのではなく、自分以外の何かをもとに自分と向き合い、考え方を改めたり改心していく方が豊かになるはず。
みんな周りに流されるのではなく、もっと自分のために生きたらいいのに。

言葉選びはSNSだけでなく、対人でのコミュニケーションでも全く一緒。
特に対一個人に対してのものであれば尚更。
全員が嫌なコミュニーケーションやSNSの炎上みたいなことを反面教師にできたらよいのに、SNSを見るとそうはなってない。

柊は法律では裁かれることになったけど、彼自身のやったことは周りで起こったことに対して、自分事として本気で向き合った結果作られた真善美を軸にした正義のもとで行われていたから、周りがあんなに感化させられた。
人を動かすってとてつもなく難しく時間とコストを費やさないといけないことがわかる。

しかもそれが全て当初クラスの中でも弱者であった茅野(永野芽郁)のためだったというラストも凄くよかった。
じんわりと泣けてくるとてもよい落とし所だった。

評価は真っ二つなのも納得はできる。
確かに非現実的で乗れない方もいた作品だったかもしれないけど、そんなことを少なからずやってるのが人間でありあなたかもしれなくて、これが確かに非現実的でなく一定現実的であることにまずは気付けるかどうかが大事。
そこからしかこの作品は理解できない気がした。
それくらいには極端に振り切れてる強いメッセージを感じた。

ここまで極端にしたからこそ、やっとそれが愚かなことであると気付け、似たような事象として、当人に落とし込まれていくと嬉しいなーと思いつつ、全く関係ない人もいるのは確かな作品でもある。
一部分の人に深く刺さったらいい、そんな作品でもあったから自ずと評価はわかれるだろう。

家族ゲームと3年A組は、先生がどちらも狂気的なほどまでの怒りをぶちまけてる。
これはおそらく作る側(脚本家)の切実な怒りでもあるのと同時に、ここまでやらなきゃ変わらないことを表すものでもあるような気がした。

P.S.
この作品は菅田将暉の類い稀ない本気の演技ありきなのは言うまでもないが、それ以外のキャストも永野芽郁はじめ、わりとよかった。
話題性だけじゃない、確かな骨太作品だった。