シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】麻雀放浪記2020 〜ボーッと生きてんじゃねえよ、ニッポン!〜

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麻雀放浪記2020

ボーッと生きてんじゃねえよ、ニッポン!

原作未読。
原作を知ってる方と麻雀通の方からの酷評が物凄いですが、個人的にはおもしろくてよかった。

今作は、ピエール瀧の一件で上映が危ぶまれていたが、思考停止して上映中止にするのでなく、熟考されて、さらに上映という決断に至ったことがとても嬉しい。
さらにこの内容なら2020年になる前の今公開することの意味が大きいし、感じるメッセージとしても、ちゃんと考えた上で結論を出すべき作品だったように思える。

オリンピックが中止になった2020年の東京が舞台。
1945年の戦後で博打に生きる坊や哲(斎藤工)が、2020年にタイムスリップして、あらゆる人やモノに触れ、それでも自分の信念を曲げずに博打に生きていくことを描いている。

勝ちへの執着、勝負へのこだわり、貫き続けるほどの強固な信念、個性、自分であることの価値を築くことの重要性、違和感への肯定、多様性の受容と共存、突き抜けることの強さ、規制により失っているもの、決められたものに縛られない柔軟さ。

戦後すぐでは当たり前だったことが当たり前じゃなく、何もかもが変わっている現代に驚きつつ、それにより進化してるものもあるが、衰退したものもあることがあらゆる観点から描かれていてわかるように話が展開されていく。

今の日本は平和ボケという形にまとめられがちだが、そんな簡単な言葉で片付けてはいけない。
その裏には思考停止、向上心のなさ、流行に流され合わせていくことが善とされるからこその没個性などがある。
総じてそんななあなあに生きる人たち、もっと広く見るとそんな状態が生まれる変わらない日本の体制に対して一石を投じている。

全てが相まって総じて自らを確立することを避けて流されて生きる甘さとそれに逃げて大きく何も変化を起こせない日本に対しての警鐘でもあるように思える。

AIを中心としたテクノロジーが世の中を大きく変えると言われている昨今。
さすがに1年でここまで変わらないと思うが、直近ではAI将棋であるアルファゼロがプロ棋士を破ったように、麻雀でも起こり得ることではあると思う。

でもこれは麻雀が国の中でもマジョリティである設定として描かれてるだけに過ぎず、本質は麻雀がどうこうという話ではなく、あらゆることで同じようなことが起きる中の一つの例としてその設定を利用してるに過ぎない。

どんなことに焦点が当たるにせよ、そこには自分であることの意味をどれだけ加えられて、そこに自信や誇りを持って、目的を持って、そこに向かって、多方面から考えて振り切って行動することができるかどうか、が重要であるというメッセージに感じた。

それこそ日本の中でもあらゆるコミュニティにわかれていって、その分野分野で突き抜ける人が出てくることが予想される。

逃げるは恥だが役に立つ=自分の戦う場所を選べが今作の一つのテーマでもある気がして、選んだらまずはそこで突き抜けることを目指してみる。
そしてそこからまたそれをもとに新たに自分を更新していき、唯一無二となっていく。

テクノロジーが進化すればするほど、それを利用する側とそれにより仕事を奪われる側にわかれ、貧富の差が生まれていく様が描かれいるのも、極端すぎる部分はあったが、わりとリアルに感じられた。

流されいくものはとことん搾取されていき、自分の信念を持ち戦う場所を選んだ先で突き抜けるとそこには希望が見えるかもしれない。あくまでかもしれない。
それが過去の象徴である哲と現代の象徴であるドテ子(もも)の比較でしっかりと表現されている。

ドテ子は選択の余地を自らに与えられず、あのような形に自らを持っていくことしかできなかったが、そこにも譲れない小さな信念は宿っていて、できることとできないことはちゃんとある。
そんな異なる2人が徐々に影響を与え合って、惹かれあって、最終的に繋がっていくのは希望であり救いだった。意外と感動。
人はいつからでも変われるというメッセージな感じがした。

色々書きましたが結局「ボーッと生きてんじゃねえよ、ニッポン!」というキャッチコピーが、シンプルだが今作を適切に一言で表現している。

振り切りすぎて理解できない人も不快に思う人も多いと思うが、これが白石監督であり、そこが自分にとっては惹かれるポイントでもある。

もっと自分の感情に向き合ってそれに正直に生きろ!
現代と予想が難しい未来に対して、大切にすべきことが斜め45度から表現されまくっていた奇作。

P.S.
斎藤工がとにかく渋くてかっこいい。振り切ってる感じが最高。
ドテ子役のももはまさかのチャラン・ポ・ランタン
ドラマ逃げ恥のオープニング歌っていたことに何か繋がりがある感じがする。
竹中直人はああいう役やらせたら本当に右に出る人いない。笑
ベッキーのAIもよかった!
記者会見のシーンあることで、ベッキーがキャスティングされたことの意味合いがより出てきていた。
キャスティングが全体的に意味深。

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