シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】ミスミソウ 〜家族が焼き殺された日、私は復讐を決めた〜

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ミスミソウ

家族が焼き殺された日、私は復讐を決めた。

2018年観たかったのに観れなかった作品を鑑賞しよう第八弾。

田舎独特の閉塞感と逃げ場のない絶望に抑圧された環境下から来る行き場のない溜まりに溜まった鬱憤が、最も昇華されてはいけない形にどんどんと昇華されていき、その負の連鎖がとことん救いのなさを助長していく展開と内容。

もちろん実話ではなくフィクションだが、救いのなさを描く作品の中でもここまでリアルな生々しさを持ちながら、強烈にじんわりと突き刺さる重さを感じた作品は初めてかもしれない。

しかも一方面からではなく、多方面からのあらゆる負が複雑に入り乱れていることで、終わりが見えない絶望の果てしなさが物凄く感じられたし、そこにこういう世界観とは対になるような愛や純粋さまでもが描かれ、それをも狂気に繋がるような描写となっていて、さらに救いがない。

話が進めば進むほど、それぞれの真意が見えてきてこんなはずじゃなかったのに、というそれぞれの思いに対して、同情の念や切なさも芽生え、感極まってくる。
多面的な視点からの闇もどんどんと露わになっていく。

成熟していないがゆえのそれぞれの背景からくる脆さが、とてつもない狂気に変わり、暴走していき、その果てには結局一人を除いて何も残らない。

さらに、過去と今を行き来するタイミングとそのバランスもとてもよく、起こっている事象に対して感情が動くエッセンスを見事に加え、作品に深みが与えられている。
特に主人公である野崎春花(山田杏奈)と彼女をいじめていたグループのリーダー的ポジションであった小黒妙子(大谷凛香)の間には、とても神秘的で美しい2人の空間が過去にはあった。

その空間を作っていた2人の関係は、あるきっかけにより、開き直ることができないからこそ崩れていったんだと「こんなはずじゃなかったのに」の裏側がそれ以外の関係も明らかになっていくことで、縦にも横にも深まり広がっていき、より一層感情が揺さぶられていくのである。

ただの鬱々とした訳のわからない怒りの爆発が表現されているのではなく、関係を築き上げていくこと、理解しようとしてもらうことに、妥協をしていないからこそ、それが行き過ぎて理性や倫理観、道徳観が麻痺して、それぞれが狂気と化していく様がしっかりと描かれていた。

初めはみんながまともだった。
優しかったし、誰かのために行動できる人たちだった。それを描写するシーンもしっかりとある。
それなのに環境や状況によって、こうも狂ってしまう可能性がある。

逃げ場のない絶望の果てには、人間味をなくした狂気が待っている。
それは殺人に向かうこともあれば、自殺に向かうこともあれば、それ以外に向かうこともある。
そんなことを静かに物語っている作品でもいり、まさに「最も切なくて、最も美しく残酷なトラウマサスペンス」だった。

愛憎をこんなにも多方面から緻密に表現し、神秘的に昇華し切った作品はそんなにないのではなかろうか。

P.S.
山田杏奈と清水尋也を筆頭に、大谷凛香と大塚れなの演技が特に凄くて憑依してる感があった。
キャストの演技も演出もリアル過ぎて、目を背けながらじゃないと正直最後まで観てられなかった。それくらいきつかった。
それでも山田杏奈と大谷凛香が何とも美しかったのである。
余談ですが、「ミスミソウ」は、厳しい冬にも負けず、花を咲かせる姿から「自信」や「期待」などの花言葉がつけられている。
ミスミソウは、春花だけでなく本当は誰にとってもの理想であったのか。

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