シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】愛がなんだ 〜幸せな恋愛ってなんだ〜

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愛がなんだ

全部が好き。
でもなんでだろう、私は彼の恋人じゃない。

私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたのだ。

ダメでかっこよくないところも、全部を好きだと思ってしまったら、嫌いになることなんてたぶん、永遠に、ない。

角田光代原作を岸井ゆきの主演で今泉力哉監督が映像化した作品。
タイトル、予告、上記3つのキャッチコピーから、かなり前より楽しみにしていた作品をやっと鑑賞。

人生における充実度や幸せを語るときに、恋愛や結婚がその大部分を占める人にとっては、非常に現実を突きつけられ、じんわりと刺さってくる作品のように思えた。

それでも、そういう普遍的で難しくもあるこの曖昧な関係ですらも、愛おしさを感じられて、それごと包み込みながら、次の新たなスタートを切る勇気を与えてくれる展開とラストがとてもよかった。

本当の恋に落ちるということは、好きになることよりも盲目的になり、どうしようもなくなり、その人と何かしらの形で関わることができなかったら、生きた心地すら感じられないほどになり、その人に嫌われないように、好かれるように、より頼られるようにただ一直線にひたすら頑張ってしまうもの。

いかにも厄介なのは、このような曖昧な恋愛の形は、どのようにどのような関係を作ることが自分にとって、相手にとって、お互いにとって正しいかがわからないことである。

さらに好きということを、関係が変わることを恐れてなかなか伝えられず、それこそ流れに身を任せて付き合うということにしてしまいたくなり、そこに相手の想いを知ることを必ずしも必要としたくないことで、自己解釈をしてしまいがちになる。

それで相手は自分のことが好きになってくれてるのではないか、という勘違いが生まれ、一方通行の尽くしと依存の関係は、エスカレートしていき、心の距離は近づいているどころか、離れていってしまってる。

憧れのように好きな人との恋愛を発展させて、その関係、もしくはそれ以上の関係に発展させながら続けることが、あらゆる人の恋愛模様から難しいことがわかる。

多分恋愛における幸せとは、「ちょうどよい人」のことを、いかに好きになれ好きにもなってくれる、いわゆる両想いの関係になれるか、という尺度で測られる気がする。
ちょうどよい人というのは、人によって定義は変わってくると思うが、大枠は住む世界が違い過ぎず、大事にしたいことが近しくて、お互いが適度にお互いのためを思えて頑張ることができ、また頑張りたいと思えることで、対等な関係をずっと続けられるような人。
さらにお互いの余裕の度合いが近しい人。
このバランスが非常に大切なんだろうと改めて思った。

今作のそれぞれの片想いの連鎖は、どうしようもない相手と繋がっていたいというどうしようもない想いを決して消すことができない先に生まれていっている。

それはどんな状態であれ、一緒にいさえすれば、何かの拍子に自分のことを好きになるかもしれない想いがあり、さらにそれを超えた先には、ただその人と一緒にいられるだけでよかったりもするのかなーと。

マモちゃんはすみれとうまくいかないと思っているからこそ、恋愛としての可能性を捨てきられない感じで、マモちゃんにとってのすみれがテルコにとってのマモちゃんになっていることに気づけていなかった。
気づいてからも、結局自分を止められず、歯止めが効かなくなってしまっていた。

主観的に(盲目的な状態で)行動をしていると、自分が他者にしていることが、相手にとってよくないことをしているのに気づかない。
落ち着いて客観的に見て考えられたらよいのに、それをテルコ、マモちゃん、葉子、ナカハラはできていなくて、すみれが唯一理解して諭していっていた。
だからすみれとの出会いによって、みんながやっと客観的に自分を見ることができていたのが印象的。

穂志もえかの役が仕事と恋愛を踏まえて人生とそれにおける幸せを考えている人として出てくることでよい塩梅になっていて、その人から見る恋愛依存の人の見え方もかなりリアルだった。

確かにこの世の大半が恋愛こそが人生における幸せを唱えそれを実現しちゃう人だらけだったら、ずっとくっついていたくて仕事どころではない人ばかりになり、この世の中は回らないかもしれない。

でも結局、関係が一度壊れていったとしても、それぞれがまた何かしらの形で繋がっていたいと思い合える関係は、それが夫婦や家族、友情とは言えないものであったとしても、非常に羨ましくあり、素敵に思えた。
あんな関係に落とし込むことができるのは純粋に凄い。

好きになる人は好きになってしまったらしゃあない論もわかるけど、結婚を意識して好きになる人はちゃんと選ばないといけないと感じる。
そして幸せは何を軸に、どのようなバランスで考えて創り上げていくか。

普遍的なことを題材に、丁寧にそれぞれの人の想いと中身が描かれていた作品。
平成最後に鑑賞できてよかった。

P.S.
キャスト全員とてもよかった!
それぞれが全て自然体に見える演技がたまらなかった。
深川麻衣が魅力的すぎた。

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