シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】母さんがどんなに僕を嫌いでも 〜切っても切れない家族に対しての愛情〜

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母さんがどんなに僕を嫌いでも

大好きをあきらめない。

原作の著者自身が、経験した虐待やいじめからのトラウマを、周りの人々の温かさに触れ、受け入れられ、助けられることで、乗り越えていくまでが描かれている作品。

こういう作品を観ると、世間的に繋がることが絶対的な正しさとされていて、繋がりざるを得なくなってる家族という存在と繋がり続けることが、必ずしも正しい答えでないことを改めて思わせられる。

人がどんな人とどう関わっていくのかなんて、一括りにしてこれが正しいなんてことは決められない。

このような非道な扱いを受けたとしても、親の愛を諦め切れずに育っていくのは、親こそは絶対的に愛し愛される対象であるという前提の圧力みたいなものが、少しは関係しているように思った。
あれでも離れられない状況になってしまってるのは、見ている側からするとどうも居た堪れなさすぎる。

 

子が親を思う気持ちって、(上記のような前提がなく)一緒にいることで虐げられるとしても、(これも人によって違うかもだけど)やっぱりあそこまで強固なものになるのだろうか。
それでも繋がっていたく、放っておけない存在になるものであろうか。

この作品には、自分にはわからない、というよりも到底思考が及ばない親への愛を捨て切れずに、ずっと諦めずに向き合い続けていた、一人の姿が描かれていた。
一人の人に対してここまで向き合うことができることそのものに凄さを感じて、それが実話だからこそ、より刺さってきて、じんわりくるものがあった。

 

上記に色々書いてはいるものの、家族、特に産んでくれた母に対しての想いは、そんな簡単に消せるものでなく、時に異常に見えるくらい力を持っていることも同時に理解できた。

他の人に触れて人の温かみに気づき、人生が好転してある程度余裕が生まれたときに、他の人との恋愛関係を作ろうとするのではなく、母との関係の修復、母を助けることを第一に動く姿に、人としての度量と親という唯一無二の存在の大きさをも感じられる。

 

ここには、許す許さないという浅はかな関わりではなく、母の全て(許せないようなことも含めて)を理解し、それ前提でその人自身を受け入れた上でどう向き合っていくか、という物凄く醸成された人との向き合い方、どうしようもない人でも関係を決して諦めたくないその人との関わり方について、考えさせられた。
相当な体力と精神力がいるだろうことも考えると、やはり感化させられるものがあった。

彼は身近な存在としてばあちゃんがいなかったら、本当に壊れていただろう。
いや、もはや亡くなっていてもおかしくなかった。
現に何人もの幼い命が、虐待などによって亡くなってるのも事実である。

 

また、幼い頃に壮絶な自己否定された経験をしている歌川たいじのような人は、本当に温かい第三者からの支えや助けがないと、自らを卑屈に捉えながら生きる以外、考えられないんだろうなと思う。
自己肯定感を自分に全く持てずに、一人で生きる以外の道しかないと思ってしまい、人を簡単に信じることができない。

そこにしつこく踏み込んでくれる人たちがいて、たいじも疑いながらも徐々に近づき、信じることができるようになったからこそ、やっと生きる上で人と関わりながら生きることの楽しさを見い出し、徐々に自己肯定感を持つことができるようになった。

 

そこには人と人との繋がりをどれだけその人の姿そのものな状態でお互いに受け入れ合い、その関わりの中で真善美を醸成しながら、やってはいけないことの線引きを引いて生きていけたらよいことがわかる。

自己肯定感が高い人は、おそらく前提として人には欠点が絶対あり、それも含めての個々人であることを理解していて、それを個性としてポジティブに自分の中に、腑に落とせている人なんじゃないかと思った。
そうなるにはある程度、余裕と拠り所が必要。

 

それを前提としてるから人との向き合い方に優劣をつけずに、全員と同じように自分を出しながら相手と嫌味なく接していける。
森崎ウィン演じるキミツがまさにそんな感じで、たいじはキミツとの出会いで、本当に人生が変わったと言えよう。
これだから新しいことへの挑戦や出会いには、物凄い可能性を秘めていることもわかった。

ばあちゃんとの出会いで、自らを悲観的にネガティブに捉えることから解放されていき、友人たちとの出会いで、自己肯定感を徐々に養い、真善美を育むことができ、行動や言動の善し悪しを判断できるようになっていったたいじは、親に恵まれなくても、出会う人に本当に恵まれていた。

 

こういう人が増えたらいいなーと思う。
家族が全てじゃないし、学校が全てじゃないから、限られた人との関わりで築かれたものが自分の全てであると思って欲しくない。
そういうことを改めて感じて考えさせられた作品だった。

P.S.
太賀の演技がよすぎてぼろぼろ泣いた。
コメディ路線もよいけど、こういう演技も本当によい。
本当に凄い俳優だと改めて思った。同い年なんですよね…尊敬!
吉田羊もあまり馴染みのない役柄だったけどよかった。
でもやっぱり吉田羊は、最後のような優しさの滲み出る母親がハマりますね!

 

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