【映画】ボヘミアン・ラプソディ 〜人間の本質は孤独を受け止めることからはじまる〜
ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)
伝説のバンド「クイーン」
彼らの音楽を唯一超える「彼」の物語。
イギリスのロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーに焦点を当て、バンドの結成から1985年のライヴエイド・パフォーマンスまでを描いた伝記ミュージカル映画。
クイーンのボーカル・フレディマーキュリーの人生が遺憾なく表現されたドキュメンタリーでもあり、想像していたよりも遥かによかった。
クイーンは小さい頃から親の影響でちょこちょこ聴いていたが、それぞれの人物について深く知るまでハマってはいなかった。
ノリのよい楽曲、覚えやすいフレーズ、いわゆるわかりやすく盛り上がる曲が多い印象で、歌詞もロクに知らないまま耳に残る程度に知っているくらいだが、その裏にこんなストーリーがあるなんて、思いもしなかった。
既視感がなく本当に彼の物語になっていたのは、バンドの繁栄までを描くものでなく、本当に彼自身を描いていたからに他ならない。
なので前半〜中盤にかけてのストーリーは、どちらかというとそこまでの苦悩なく成功を収めたように映っていて、期待してたよりも物足りないかなと思っていた。
というよりも、彼自身の生い立ちやバンドに至るまで、その反骨心の根源はどこにあるのか、バンドはどう生まれたのか、ぶつかり合いなど、終盤にかけての物語のための布石になっていた。
中盤〜終盤にかけて、彼自身の「あること」を悟ったときからの苦悩は計り知れないものであったことがわかるような展開になっていて、その部分からの解放に至るまでに、大切な要素が詰まりまくっている。
大人になればなるほど勘違いや自惚れは危なくて、それは容赦なく大切な人たちの思いを裏切ることになってしまい、自分をわかってくれないと頭を抱える生活ではあるが、仲間や大切な人がいる人生→本当の孤独に苛まれる人生になり得る。
まさかあの輝きの裏にこんな苦悩があったなんて…あることを悟ってから彼の人生の歯車は確かに崩れ出した。
どちらかというと自分で崩し出してしまっていたように見える。
クイーンの他のメンバーもメアリーも家族も、彼を大切に思っていた。
でもそれがわからなくなるのは、そういうもの全てを対話でなく自分で抱えることで消化しようとするから、そうなることでちょっとしたことで裏切られたと感じてしまい過度に自分を追い込んでしまうから。
本当の自分も誰が大切な人なのかもどこを向いて歩み生きていくのか、も正常に判断ができなくなっていく。
そんな彼に忍び寄るのはそんな彼を利用しようとする人たちで、そのような人たちに搾取されていくマーキュリーは見ていて苦しかった。
ここにXのTOSHIの洗脳事件と同じようなものを見た気がする。
彼は悪くないのに…ずっとそんな思いが頭に残る。
そこから本当に大切なものは何か、向くべき方向性に気づき、彼が変わっていく姿には物凄く心を打たれる。
プライドの高い彼が、自身の非を全面的に認めてメンバーに委ねるお願いをする。
それをイケてる受け入れ方で再度受け入れるバンドメンバー。
人間は何かしらの誤ちを犯すものであり、それこそ誰かの誤ちを許さない世界では誰もが生きていけなくなるだろう。
そのあとが大事である。そういう意味でこのシーンはかなりの救いであり、懐の深さに感動だった。
ここからはもう涙の連続であった。
最後の20分を超えるライブシーンでは、字幕つきでクイーンの曲が流れ続ける。
その歌詞を彼の物語を辿ってから見ながら曲を聴くと、とてつもない想いが溢れて蘇ってきて、もう色んな感情が入り交じってずっと泣いてた。
この映画はフレディマーキュリーの人生ありきなのは言うまでもないが、物語の展開の仕方、見せ方でより感動を助長する内容になってる。
クイーンのことをあまり知らない方にも本当におすすめできます。
どんな人でも刺さるし、寄り添えるし、圧巻させられる。そして自分の人生についても考えるきっかけになる。
そんな作品でした。
P.S.
人間は基本的に、本質は孤独であることを受け止めることから始まるのかもしれない。
他の人とは違うことを認めることで、他の人も自分とは違うことを理解でき、受け入れることができ、認めることができ、大切にすることができるようになる。
そのような生きていく上での本質が、フレディマーキュリーの人生を背景までしっかり追うことにより、描かれていた。
美容師の方とも会話で盛り上がった!
やっぱり全世代話せる唯一無二の存在だ。