シネマライフキャリア - Cinema Life Career -

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【映画】ウィーアーリトルゾンビーズ(WE ARE LITTLE ZOMBIES) 〜生きてるくせに、死んでんじゃねえよ。〜

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ウィーアーリトルゾンビーズ(WE ARE LITTLE ZOMBIES)

生きてるくせに、死んでんじゃねえよ。

青の帰り道の後に本作を観たのはミスったかもしれない。
リトルゾンビーズたちに青の帰り道の7人を見せてあげたいと思った。
まあそんなことをしても彼らには意味がないかもしれないが。

人生が、ダンジョン(そうして私たちはプールに金魚を、)からゲーム(ウィーアーリトルゾンビーズ)に変わった。
抜け出そうとするのではなく、勝とうとする、ゴールが見えない中で。
人生を何かしらに例えて、それを物語と映像に落とし込んでいくのが秀逸。
しかもこれを長編でやってのけてしまうのにまずは恐れ入った。

人間ながら無感情でゾンビのように生きる主人公の中学生4人組をリトルゾンビーズと名付けている。
ゾンビは、感情のない人間のメタファー。

ゾンビにはゾンビの闘い方がある。
感情からは目を逸らし、あくまで社会を理路整然と俯瞰し続けて、勝手に切り込んでいく。
そこにはただその状況が語られまくり、大人の隠していた事情がどんどん露わになってくる。
ゾンビーズは内輪の中だともはや空気を読むことも必要ないからただただ思ってることを暴露しまくる。
これが感情のない人から見た今の世の中の現実であるかのように。

そしてゾンビを生み出してるのはただならぬこの現代におけるネガティブが蔓延している現実であり、それは感情を持たないほどに未来への希望をなくす。
そこから喜怒哀楽がわからない無機質さ、無の状態が生まれ、それはもはやゾンビと何ら変わりがない。

希望に繋がる現実を知っていけば、それはまた変わっていくのだが、そこにも嫌な現実は潜んでいて、それが露わになるとより救いをなくしていく。
リトルゾンビーズが変わるきっかけとなるバンド活動も、大人の事情でこうも簡単に潰されるつまらない世の中。

それでもリトルゾンビーズは冷静だ。
あくまで理路整然とその場を説明的にやり過ごす。
そんなこと全てお見通しで、一喜一憂していたら生きていけないから。
無であること、むしろマイナスであることの強さが弾けてる。

ルールが増えると当たり前が多くなり、当たり前が多くなると喜びや楽しみが減る。
それがデフォルトの状態で生きているから、感情とは無縁な楽な世界を自分たちで作ってその中に籠って生きたくなる。
そんな世の中とゾンビのような人間のメタファーがこの映画であり、リトルゾンビーズである。

この映画をひとことで言うととてつもなくエモい作品なのだが、そう言われることを見越して、ポイントポイントに「エモいって古っ!」という突き刺さる台詞がぶっ飛んでくる。
思考停止するなよと、そんな軽い言葉に落とし込むなよと、もっと向き合ってちゃんとした言葉に落とし込めよと、言わんばかりに。
でも逆にそんなあらゆるものが説明的すぎる世の中もおもしろくないよね、という逆説的なメッセージ性も感じる。

つまらないそれなりのものに溢れてるから、リトルゾンビーズがあんなに脚光を浴びることになるし、中身のない一風変わった何かが注目を浴びては消費されて、すぐ飽きられて、消えていく。
いつまでそんなことを続けるんだというのが監督のメッセージだろうか。

自分の感情と思考のどちらもを持ちながら地に足をつけて前に進んでいくことが、幸せに生きるということ。
それを普遍と捉えて表現し、それぞれの道をリトルゾンビーズが歩んでいくラストが印象的。あくまで自分がそう感じただけだから真意はわからないが。
人生は死ななければ何度でもコンティニューして再スタートできる。

無機質に鳴り響いた「ウィーアーウィーアーリトルゾンビーズ〜♪」が頭から離れない。
何でこんな音楽に侵されたのかもわからない。
でもこれを考えなくちゃいけないんだろうなと。
まだまだ知らないといけないことが、たくさんありそうだ。

長久允監督は元電通で、こういう作品を作られるのがなかなかに闇深くておもしろい!

まあ評価はわかりやすく分かれる作品(受け付けない人は全く受け付けないという意味で)だろうが、逆にそういう人も交えてこの映画について語り合うだけでも何か意義深い感じがする秀作だった。

絶望だっさ。

P.S.
イクコ役の中島セナが13歳というのに驚愕!
とてつもない逸材が!
あとは脇を固めるキャストがなかなかに豪華でとてもよい。
特に池松壮亮が最高でさすがすぎる!笑
青の帰り道後にこれを観たら高低差が凄すぎて、頭が整理できず追いつけなかったw

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